「雫」

窓の外は雨でかすみ
蜃気楼か貴女の笑顔
遅れた出会いで結ばれず
秘めて語れぬ恋だから
忘れないで
忘れないで
胸にしみいる心の雫

街も濡れて灰色景色
泥水を撥ね車が急ぐ
無視され生きる苦しさを
優しく包んでくれた人
忘れないよ
忘れないよ
貴女がくれた夢の雫

木の葉を揺らす風の音
貴女の声が透き通る
突然すぎる命の終り
悲しみがこだまして
愛しているわ
愛しているわ
ガラスを伝う言葉の雫

空をおおう雲の流れ
貴女の時は消えたのに
忘れたふりで巡る季節
一人で抱く記憶の渦に
愛しているよ
愛しているよ
乾きはしない想いの雫
(チャゲ)







やっと開いた花びらを伝わって
まるでひとつの法則のように連なって
ゆっくりと滑るように落ちてきた
五月雨の雫はキラキラしてたね

置き去りにさたれたわたしの心
雨のにおいと白く滲んだ風景見てた
しがみつくように傘の中で
あの日は二人だったのにね

歩道橋の階段滑らないようにと
強く手を握って歩いてくれた
あの柔らかな温もりを
いつか忘れてしまうんだね

雨が降るたびに思い出すのかな
青い葉っぱにゆらゆら雫たち
わたしの頬にも雫たち
もうキミの前では泣けないね

どれだけ言葉を飾ってもわたしたち
失うことしか出来ないから
雫を溜めたその花びらは
こんなに綺麗に鮮やかだけどね

(まゆ)



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